生活習慣病には、糖尿病や高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い疾患)、痛風などがあります。主に運動不足、過食、そして肥満といった生活習慣の不摂生が原因で起きてきます。
生活習慣病は、一つ一つは軽症でも、いくつもの疾患が重なることが少なくありません。そして重なることによって、各症状がひどくなったり、心臓病や脳卒中などの重大な疾患に結びついたりする危険性も高まるのです。
そういった事態を招かないように、生活習慣を改善するための対策を打っていきましょう。
基本的には、どの病気であっても、生活習慣の改善、つまり食事療法と運動療法が中心であることは共通しています。必要と判断した場合には薬物療法も行います。
なお、当院では「メタボ健診」や「生活習慣病健診」を行っております。
脂質異常症(高脂血症)というのは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪(トリグリセリドなど)LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が、多過ぎる病気のことです。
脂質異常症を放置すると、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まって動脈硬化を招いてしまい、そのまま進行すると、ついには心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こしかねません。
痛風は、その発症前に血中の尿酸値が高い状態が長く続きます(高尿酸血症)。それを放置すると、尿酸が関節の中で固まって結晶になるため関節炎を起こし、ある日突然、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて痛み出します。痛みは耐えがたいほどで、「痛風」という病名には「風に吹かれただけでも痛い」という意味が込められています。
痛風を起こす人は、起こさない人よりも心筋梗塞や脳梗塞になりやすいことも知られています。これは、痛風に糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が合併しやすく、動脈硬化がどんどん進むためです。
この病気の研究は進み、良い薬も開発されたため、正しい治療を受け、生活改善をすれば、まったく健康的な生活が送れます。しかし放置すると怖いので、専門知識を持った医師に相談の上、きちんと治療を受けることが大切です。
高尿酸血症は内臓脂肪の蓄積によってもたらされる病気です。
内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞からたくさんの遊離脂肪酸が分泌されます。それが血流によって肝臓に運ばれると、プリン体の代謝が過剰になり、老廃物である尿酸がたくさんつくられるようになります。血液検査によって血液中の尿酸値が7mg/dl以上になると、高尿酸血症と診断されます。この状態が長時間続くと、痛風や尿路結石といった激痛をともなう病気になりやすくなります。
高尿酸血症の患者数は、現代では500万人以上と言われており、痛風患者の10倍以上です。その7割にメタボリック症候群の可能性があると言われています。
前述のように、高尿酸血症が進行していくと、結晶となった尿酸が関節・足先や耳たぶなどに溜まります。そしてその部分に炎症が起こり、激痛の痛風発作が起こります。また腎臓に溜まって結石が出来ると背中に痛みが生じ、尿管や膀胱に移行すると、その部分で炎症を起こし、激痛が生じます。
高尿酸血症の予防には、食事の量とともにアルコールの量を減らし、脂肪分の多い食事やプリン体の多い食事(鶏卵・魚卵・肉・魚・塩辛など)を控えめにする、水分と野菜を多く摂る、軽い有酸素運動を行う、といった生活改善が必要です。
肥満、特に内臓まわりに脂肪が溜まって、おなかがぽっこり出ている内臓脂肪型肥満の方は、血圧、血糖、脂質値などの異常を来たしやすく、その結果、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が重なりやすいことがわかってきました。内臓脂肪型肥満があり、高血圧、高血糖、脂質異常症のうちの2つ以上が重なっている状態をメタボリック症候群と言います。
メタボリック症候群の患者さんでは、血圧、血糖、脂質などの値がそれほど異常でなくても、それらが重なることで動脈硬化症が進展しやすくなり、心筋梗塞や脳血管障害などの心血管事故の危険率を高くすることが知られています。
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